太陽の唄Ⅱ

いつしか彼は周りから恐れられる存在へと成長していった。
それは同い年の子供達からだけでなく、大人たちでさえ…
そんな彼でも唯一笑みを浮かべる時間があった。
それは依頼の時。

依頼とは暗殺、そして戦場で殺す事だった。
彼は狩りの時間を楽しんだ。
とにかく血が騒ぐ…

そんな彼はよく危険な任務を任された。
決して強かった訳ではないと思う。
唯、勘が良かった。
何故か戦う事に慣れていた。
そして、死を恐れていなかった。
彼は舞うように…
手当たり次第の者を斬っていった。
そして若くして業績を上げていった。

ある日のこと。
そんな彼の日常に変化が訪れる出来事が起った…

太陽の唄Ⅰ

少年は自らの手に握られた物をじっと眺めていた。
手に握られていた物は銀色に輝く懐中時計。
その時計の内に刻まれた文字は「Michael・Carter」。
それは恐らく彼の名前。
全てを失った彼に残された唯一の物。

「ミカエル・カーター」
これは彼の物語…

そこは、目覚めたのとは違う場所。
気がついた時、彼は既に組織の一員だった…
彼はいつも独りだった。
それは取り残された訳でもなく自ら望んで…
何故、そうなったかは分からない。
しかし、確かなことがあった。
それは彼が全てを憎んでいるということだった。
理由はそれだけで充分。

最初のうちは幼さ故に構ってくれる者もいたのだろう。
しかし、彼はそれを振り払っていたに違いない。
そして孤独を楽しんだ…
暗闇の中の孤独。
それはとても心地の良いものであった…

太陽の唄 【序章】

ある時ソレは違和感を覚えた。

それは目覚めというもの。

何かが当たった。

ソレは自分に身体というものがある事を知った。

感触というものを学んだ……

 

そしてソレは身体というものを少し動かしてみた。

少し違う動きをしてみると身体に当たっていたものが動いた。

その時に聞こえたのは音。

 

ソレはゆっくりと起き上がる。

うっすらと何かが見えた。

自分が入っているのと同じような無数の箱……
気になって手を伸ばす。
すると自分の手の中に丸く平べったいものが握られていることに気がついた。

 

その時だった。

ガラリと大きな音と共に見たものは……

『眩しい……』
それは光。
そして光と共に何者かの影が見えた。