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ここは、トミーウォーカーのプレイバイウェブ(PBW)【シルバーレイン】のPCのキャラクターブログです。                   ============================================================                               このページで使用するイラスト作品は全て、株式会社トミーウォーカーの運営する 『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。 イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は描いて下さった絵師様に、 全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。 ============================================================
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目を閉じて思い返す。
過ぎ去りしあの日の出来事を…。
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闇を纏うようなロングコートを着た男がひとり。
ぼんやりと夜空に手を伸ばす。
その手を冷たい風が吹き抜けて行く。

「結局…」
独り言葉を漏らし溜息をつく
相変わらず男の手を掠めて行くのは冷たい風だけだった…

「自らは名乗らず…か…」
ミカエルと呼ばれた男は振り返りながら溜息をつき、声の主を見る。
その視線はとても冷たいものだった。
声の主は視線を向けられ一瞬表情を変えるものの急いで取り繕う。

「これは失礼。我が名はラジスト。現在の右翼だ」
彼は自慢げに名乗る。
それに対しミカエルは
「ほぅ…」
と無関心な相槌を打つ。
其の様子を見てラジストは苛立ちを覚えたがどうにか平静を保とうとする。

「服装は一致するようだが、容姿が大分違うようだな。確かミカエルは銀色に輝く長い髪の持ち主と聞いていた筈だが…」
そう言いながらラジストはじっとミカエルを観察する。
それに対しミカエルは
「答える義理はない。しかし…変わりに言っておこう。左翼のカレドナは元気か?」
と返答した。
途端、ラジストの様子が急変する。
その様子を顔色一つ変えずにミカエルは眺める。

「お前が元右翼ミカエルかどうかはもうどうでも良い。その関係者には違いない」
そう言って突然切りかかってきた。
ミカエルはそれを簡単にかわす。
攻撃するラジスト、しかしそれに対しミカエルは反撃しようとせず涼しい顔をして避けるだけ。
その様子にラジストは一層苛立ちを見せる。

「何故反撃しない?」
その質問にミカエルはボソリと答える。
「面倒…」
この解答にラジストは遂にキレた。
「俺はお前に負けない。俺はお前に勝ってカレドナに俺が右翼に相応しいことを認めさせるのだから」

「成程…」
そう言うとミカエルはラジストの頭上へと舞い上がり、枯れ枝を折った。
「それでは反撃致そう。ラジスト殿」
そう言って微笑んだ。
「フザケルな!」
飛びかかるラジスト。
しかし、彼は直ぐに地に伏せることになる。
「感情に流されるようではな…」
そう言って動けなくなったラジストに背を向ける。

その時だった。
笛の音が聞こえた。
急いで振り返るとそれはラジストの鳴らしたものだった。
ミカエルはその笛の意味することを知っていた。
「本当に面倒だ…」
そう言って大きな溜息をついた。

間もなく、ラジストの部下達が到着する。
その数は…。
『流石に戦わなければならぬ…か…・』
ミカエルは意を決した。
しかしその表情は何処か楽しげだ。

その時だった。
ミカエルの目の前に一匹の黒猫が現れた。
何処か見覚えのある…
「フジワラ?」
それは綺羅良の愛猫。
しかし、何故こんな所に?
猫はミカエルの顔をじっと眺めた後ある一点を見つめて鳴き出した。
ミカエルはその方向を見ると人影が…
服装からして組織の人間では無いようだ。
そして何処かで見覚えが…

しかし、そんな事を考えている場合では無い。
昔なら、片っ端から全て斬る所だが…
戦闘態勢に入ったその時だった。
敵の軍が次々と倒れていった。
何が起ったか全く分からない。
その時目の前に現れたのは白い馬と先程の…?
そして、彼も気を失ってしまった。

11月23日。

彼は白い花束を手に荒野に立っていた。
そこにあるのは一本の枯れ木だけ。
それは、彼にとって最後の戦場。
運命の歯車が確かに動いた場所…

歯車ならもっと前から動いていたのかもしれない。
しかし、彼はそれに気付いていなかった。
空気位にしか感じていなかった存在。
寧ろ鬱陶しいとしか思っていなかった存在。
しかし…
当たり前だと思っていた空気が無くなって、初めてその重要性に気付いた。

運命とは残酷なものだ。
失ってからでは遅すぎる…

『お前、自分が何をしているのか分かっているのか?』
『そいつは俺たちの敵だ!そいつが何をしたのかお前も良く分かっているはずだろ?』
『この裏切り者!』

飛びかかる罵声。
あの時、何をしたのか…
自分ですら分からなかった。
しかし、後悔等はしていない。
それでも…判断を下すには遅すぎた。

別に組織を裏切りたかった訳では無い。
少女を護りたかった訳でも無い。
唯、あいつが…
気付いたら走ってた。
我を失って少女を抱えて走っていた…
走馬灯のようにあの頃の思いが駆け巡る。

「龍崎…」
そう言って彼はそっと枯れ木の根元に花束を添える。
そして想いを馳せる…
その時だった。
急に後方から声がした。

「その服装は…もしや右翼のミカエルでは…?」
その言葉を聞き、彼の表情はみるみる内に変っていく。
「…ほう…その名を知っているとは…」
そう答えながらゆらりと彼は振り返った。
彼が辿り着いたのは木々の生い茂る静かな場所。
暫く歩くと小屋が見えた。
それは彼が目指していた場所。
ドアを開けようと試みたが鍵がかかっていて開かない。
しかし、窓を見つけ手をかけると…開いた。
彼はそこから小屋の中へと侵入した。

そこに人の気配は無く、埃が積もっていた。
数年間使われていないのであろう…。
彼は小屋の中を歩き回った。
そんな時に彼の目に付いたのは机の上に置かれた黄ばんだ小さな紙。
彼はそれを手にとってみる。
どうやら手紙のようだ。
その手紙にはこう記されていた。

『少し出掛けてきます。
 今までありがとうございました。
 懐中時計、大切にします。
  Lucifer・Carter 』

彼はじっくりとその手紙を見て呟いた。
「やはりルシフェルはここに…」
その時だった。
白い鳩が羽音を立てて部屋の中を飛び回る。
「師匠、ここを覚えているのか?」
思わず彼は問いかけた。
鳩はそれに応じるように机の上に降り立ちじっと彼を見つめた。
「そうだよ…俺はここで紅葉からお前を預かった
 そして俺はここで龍崎になった」

数分間の沈黙。
鳩は机の上を歩きまわり、足跡を残す。
『ここで俺は龍崎になった』
その言葉を彼は頭の中で何度も反すうしていた。

『しかし、私は…』
決意を決め、彼は鳩に呼び掛ける。
鳩は歩みを止め、首を傾げる。
「手紙を…運んで欲しい。出来るか?」
鳩は胸を張ったような姿勢でじっと彼を見る。
「ありがとう。師匠…」
そう言って彼は手紙を取り出し、鳩の脚にくくり付ける。
鳩はじっとしたまま足元を見つめる。
どうにか結びつけることが出来た。
鳩は手紙を付けたままトコトコと歩き回る。
そんな鳩に彼は再び呼びかける。
「もう一通…大丈夫だろうか?」
鳩は再び足を止め、そっと脚を彼の前に差し出した。
「師匠…ごめんな…ありがとう」
鳩は唯、じっと手紙が結ばれるのを待っていた。

「届け先は…分かるな?」
鳩は頷くような素振りを見せ、窓から外の世界へ飛び立った。
そして彼は独りになった…。
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